日本歯科医師会会長選挙特集 次期リーダーへの道(4)三者三様の選挙戦

 選挙活動が活発になる中で大きく注目を集めたのは、まず1月8日の柳川忠廣氏の「東京応援集会」に日本歯科医師会の現職の会長である堀憲郎氏が出席して柳川氏の支持を表明したこと。堀会長は昨年秋の記者会見で勇退を明らかにしたのち「後継指名はしない」と述べていた。この日、登壇した堀会長は発言時間の大半を自身が会長に就任してからの功績に費やしたのち、結びに昨秋の会見について「公式の記者会見において『現職の会長が次の会長はこの人に指名する』といったことはできる仕組みではないしそんな権利は会長にない」とした上で、「個人の考えが基本でありますし、候補者の説明、考え方を理解した上で判断をしていただくことを前提に申し上げますが、これからの歯科医師会の舵取りを柳川先生に担っていただきたいと強く期待します」と述べた。これは要するに後継指名である。

 もうひとつ注目を集めたのは、1月15日の高橋英登氏の集会に元日本歯科医師会会長の大久保満男氏が登場して高橋氏の支持を明言したことだ。大久保氏は柳川氏と同じく静岡を地元とすることから、一部では柳川氏を支持するのだろうと思われていたため、その反響は大きかった。大久保氏は「いまの時代がどのような会長を求めているのか」ということを論拠に「保険診療中心の歯科が低迷する現状を打開するには〝正当な政治力〟を駆使して予算を確保することが必要」として、高橋氏の日歯連盟会長としての実績と行動力に対する期待を述べた。

 一方、組織的な支援を受けない小林慶太氏は、二人とはまったく異なる手法で政策の周知に努めていた。小林氏は1月22日の夜、『日歯改革を語る』と題してZOOMでライブ配信を行い、チャットで上がってくる質問に次々答える形でおよそ60分にわたって自信の考えを明らかにした。

 かつて日歯会長選挙は学閥等の影響を廃してより多くの会員の声を反映させるために、選挙人を約100人から約650人に拡大する制度改革を行った。とはいえ、いまだ全会員の1%に過ぎない。小林氏の手法であれば、全会員に直接政策や主張を訴えることができる。さらにオンライン投票であれば、全会員による直接選挙も理論的には可能になり選挙にかかる経費も格段に縮小する。いつまでも「セキュリティが心配」「設備のない会員がいる(スマホもない?)」と時代遅れなことを言っていては改革は前に進まない。

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