日本歯科医師会会長選挙特集 次期リーダーへの道(5)政策の論点1 国民皆歯科健診

 今回は7年ぶりの会長選挙となり、立候補者が複数のため政策で競う活発な論戦が期待される。論点はいくつかある。高橋英登氏、小林慶太氏、柳川忠廣氏(届出順)の三氏の政策のキーワードは「シンクタンク」「医療DX」「組織改革」「歯科医院経営」「国民皆歯科健診」など。
 「シンクタンク」はそれぞれが描く機能のイメージが異なるのであらためて整理したい。「組織改革」については小林氏が具体的な方法を示して面白い。「歯科医院経営」は改定財源の確保に論点をまとめた高橋氏がわかりやすい。
 「国民皆歯科健診」に対するスタンスは三者三様。高橋氏は骨太の方針に始まり令和5年度予算案に盛り込まれたことに強い期待を寄せている。小林氏は政策を日歯の役割と改善点に絞り込み、あえて国民皆健診に触れていない。柳川氏はさまざまな場面で、治療に繋がらなければ意味がないこと、予算案は執行されて意味があることなど問題点を厳しく指摘している。
 「国民皆歯科健診」をどのように評価することが適切なのか。職域代表の自民党参議院議員、山田宏氏は6月26日に行われた日本歯科医師連盟の定例記者会見の席で、次のように考えを示している。

山田 昨日25日に行われた「自民党国民皆歯科健診実現プロジェクトチーム」の会合で協議された内容についてお話しします。テーマは2つ。まず来年度予算案に「国民皆歯科健診」の関連予算が5億4300万円ついたこと。この内容について厚労省から説明を受けました。もうひとつはこの健診を確実に推進するための法改正の考え方を議論しました。予算案の中では「歯周病等スクリーニングツールの開発支援」に2億円の予算がついたことに国の本気度がうかがえます。診療につなげる指導のあり方を検討するための予算も盛り込まれています。課題は〝皆歯科健診〟ですから全世代を対象にどのような仕組みを作るか、そして口腔と全身の健康の関係について国民の理解を得られるかです。昨日は法制化について議員立法を視野に議論をしたところです。6月21日までの通常国会の中で議案提出することを目指しています。
 健診を診療につなげるのは当たり前のことで、そのための検査のあり方をこれから検討していくわけです。そして、予算がなければ執行率もへったくれもない。まずは予算を取ることが先で執行率については使いやすい制度に設計する厚労省の仕事です。これからモデル事業等を通じて実現までの課題を詰めていくわけですから、治療につながらないような健診は意味がないというのは論理が逆転しているのではないですか。

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