【編集部コラム】長野県国民健康保険団体連合会が、診療報酬の再審査請求約1,300件を放置

 すでに、信濃毎日新聞や中日新聞に掲載されているが、長野県国民健康保険団体連合会の職員が、診療報酬の再審査請求約1,300件を放置していたことが明るみに出た。昨年4月に担当者が交代し事態が発覚したとのことである。しかも、同連合会はこの事態を内規による処分で済ませ、監督者の長野県にも報告していなかったという。
 酷い話である。再審査の内容は様々であろうが、一枚一枚に患者さんがいて医療者がいるのである。国保中央会や診療報酬支払基金はオンライン請求によるシステム化を進めているが、足元でこのような事態が起こっているようでは、いくらシステム化の利点を説明したところで、現場の医療者の納得は得られないだろう。
 同連合会の会長は、今後このような問題がないよう指導を徹底すると話しているそうだが、それならば事の経緯と今後の対策を関係者に対して、しっかりと説明するべきだろう。少なくとも、現時点では同連合会のホームページにこの件に関する文章等は載っておらず、地元長野県の医師会や歯科医師会に対して説明があったのかどうかもはっきりしない。一般の企業、特に上場企業であればコンプライアンスに関わる問題として、ホームページ上で状況説明や謝罪を迅速に行おうとするはずである。
 昨年末に公表された「平成22年度における保険医療機関等の指導及び監査の実施状況について」では、保険医療機関や保険医に対する個別指導や監査の件数が著しい伸びを示していた。また、社会保険診療報酬支払基金は、平成24年3月診査分のレセプトより突合点検、縦覧点検を開始すると発表している。社会保障費の自然増が国家財政を圧迫する中においては、医療費に対する監視の目は今後も厳しくならざるを得ないだろう。そうであればこそ、診療報酬請求に関わる諸団体には、医療者および患者の納得を得るために、一般企業以上の規律や情報公開の姿勢が求められると思うのだがいかがなものだろうか。
長野県国民健康保険団体連合会のホームページ

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