社会保障審議会で協会けんぽの財政について討議、現在の国庫補助率等維持の場合は平成29年度に保険料率11.2%との試算も

 厚生労働省は11月7日、第57回社会保障審議会・医療保険部会を開催した。主な議題は2つで「協会けんぽの財政状況について」と「産科医療保障制度について」だった。
 特に焦点となっているのは、平成22年度~24年度の措置として13.0%から16.4%に引き上げられている国庫補助率と、後期高齢者支援金への総報酬割(現在は3分の1に導入)の問題。協会けんぽとしては国庫補助率の維持(あるいは引上げ)と総報酬割全面導入の両立が望ましく、財務省は総報酬制を全面導入して国庫補助率は抑制、健保組合は現状での総報酬制には反対と立場は割れており、厚生労働省がどこに落とし所を探るか非常に難しい情勢だ。
 資料の中では、協会けんぽの保険料率の推移を6つのケースで予想しているが、現行の国庫補助率16.4%、総報酬制の1/3導入が維持された場合で、平成29年度には保険料率が11.2%に達するとされている。また、協会けんぽに比して健保組合の保険料率が平均として低いことや、加入者の所得水準が高いことを示す資料も掲載されており、厚生労働省としては総報酬制を全面導入したい意向だ。ただし、健保組合では組合による財政状況の格差も大きく、すでに協会けんぽより保険料率が高くなっている組合も存在する。また、保険料率の伸びが抑えられているのは健康維持の努力が反映されているためとの主張もあり、現状での総報酬制の全面導入には強く難色を示している。
 後期高齢者医療制度の改革が必要という点では各所の認識は一致しているものの、政局の混迷で国民会議の立ち上げも遅れている。抜本的な改革案が出るまでに財政の一層の悪化を招かないためにも、国庫と各団体、制度間でのバランスのとれた調整が必要とされている。

※総報酬割/後期高齢者医療制度への保険者からの支援金の割り振り方法。加入者の所得水準が高い保険者ほど支援金の負担割合が高くなる。現在は1/3に導入されており、残りの2/3は加入者の人数をベースに割り振る加入者割となっている。
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