「選択療養」(仮称)に保険者3団体が反対の見解

 4月3日、健康保険組合連合会、国民健康保険中央会、全国健康保険協会の保険者3団体は、規制改革会議で提唱された、いわゆる「混合診療」の幅を拡げる「選択療養」(仮称)制度には反対の見解を公表した。
 反対の理由として、「実質的に有効性・安全性の確認が不十分な医療行為を広く患者に提供することになり、患者に健康上の不利益をもたらす可能性があるため」としているほか、

1)患者と医師という当事者間の合意だけで成立する診療の費用を医療保険がカバーする仕組みは、医療保険制度の原則や財政運営を行う医療保険者の責任の範囲を超える
2)患者と医師の間には情報の非対称性があるため、患者が保険外診療の有効性・安全性を客観的に判断することは難しい
3)各保険者が個別の診療について診療契約書のみで有効性・安全性を判断し、「選択療養」に該当するかどうかを短期間で判断することは事実上不可能

などを挙げている。
 保険外診療の併用範囲の拡充を求める患者ニーズに対しては、先進医療制度の運用見直しによる迅速化で対応すべきとしている。
 規制改革会議が提唱した「選択療養」の仕組みについては、田村厚生労働大臣も4月4日の閣議後記者会見で慎重な姿勢を示した。一方、「保険外併用療養を活用するというところでは一致している」との見解も示しており、混合診療の幅を拡げるための仕組みについて、今後の議論の行方が注目される。

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