カテゴリー別アーカイブ: 医療団体

日本歯科医師会会長選挙特集 次期リーダーへの道(9)政策の論点 クオリティーと独自性

 7年ぶりの選挙で複数の候補者が立候補しているとなれば、これからの日本歯科医師会をどのような政策でリードしようとしているのか、政策論で選ばれることが期待される。3候補の政策は、テーマは共通するところもあるが実現への道筋はもちろん異なっている。選挙人の先生方がどの点を評価して投票するかが注目されるところだ。  その政策に求められるのは、どれだけ検討を重ねて実効性を高めているかという質の問題、そして、この人しかいないという独自性、発想力ではないだろうか。前回、小林慶太氏の国民皆歯科健診導入への道筋について触れたところ、早速資料提供していただいたので参考に紹介する。高橋英登氏にも柳川忠廣氏にも、選挙人だけでなく広く会員に向けてわかりやすく政策を提示していただければと思う。  とはいえ、選挙は数で決まる。郵送投票の締切(2月14日)を考えれば多くの選挙人の方々の判断はほぼお決まりではないかと思う。1月8日の柳川氏の応援集会で登壇した日歯の堀憲郎会長は「個人の考えが基本でありますし、候補者の説明、考え方を理解した上で判断をしていただくことを前提に申し上げますが」と切り出した。これこそ選挙のあるべき姿であろう。まさに正論である。できうるならば、柳川氏の政策のどこを評価して支援を決めたかまで話していただきたかったのが残念だ。

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日本歯科医師会会長選挙特集 次期リーダーへの道(8)政策の論点 会長選挙制度改革

 投票用紙は2月3日に発送されたので、すでに全国の選挙人の先生方の手元に届いているはず。投票の締切は2月14日(火)で当日開票される。いずれの候補者の政策がこれからの日本歯科医師会のあり方にふさわしいのか、真剣に検討していただくことが望まれる。  さる2月5日には、小林慶太氏が2回目のZOOM配信で自身の政策を発表し、チャットの質問に答えた。テーマは国民皆歯科健診の方向性と、日歯会長選挙のあり方について。選挙制度は日歯会員による全員投票を目標とした場合の方向性が提案された。デジタル技術の普及によって「郵送費用がかかるからできない」という理由はもう通用しない。全員投票方式は未入会対策にも効果があるのではないか。  選挙運動は佳境にある。高橋英登氏は手弁当で全国の選挙人をまわり、柳川忠廣氏は多くの支援を受けて電話によるきめ細かいPRを展開していると伝え聞く。その一方で、小林氏のネット選挙活動がいったいどれくらいの支持を集めることができるのか。その結果次第では、今後の日歯会長選挙のあり方が大きく変わるかもしれない。

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日本歯科医師会会長選挙特集 次期リーダーへの道(6)政策の論点4 日歯と日歯連盟の峻別

 今回の選挙の論点の一つは、次期の歯科界のリーダーが日本歯科医師会と日本歯科医師連盟の関係をどのように関係付けるかである。  都道府県歯科医師会会長の多くは歯科医師連盟の会長を兼任している。問題意識を共有するためにもっとも効率が良いのがこの選択だ。では日歯と日歯連盟は今後どうあるべきか。3人の候補者の意見は昨年12月7日に歯科記者会主催で行われた共同記者会見では次のように分かれた。  高橋英登氏は、歯科医療に係る予算を確保するためには政治力が必要だが、自分が日歯連盟会長の経験の中で蓄えた実績を日歯のトップの立場で活かしていくとし、ふたつの組織は連携しながら役割の違いを明確にすることとした。  小林慶太氏は、それぞれの組織の役割を明確にして、連携・協力しながら歯科医療の向上に努めることが望ましいとした。  ふたつの組織の関係を独自の表現で示したのが柳川忠廣氏で、「日歯連盟の活動や考え方は日歯がグリップすべき」とし「日歯から離れたところで連盟活動があってはいけない」と述べた。  三氏とも基本的に両組織のあり方は現行のままとしながら考え方はやや異なる。では、日歯周辺の関係者の考え方はどうか。  1月8日、東京・秋葉原で開催された「柳川忠廣君 東京応援集会」に出席した参議院議員の島村大氏(写真:前列右から二人目)は、「日本歯科医師会の会長も日歯連盟の会長も柳川さんにやっていただきたい」と明言した。与党自民党が本当に日歯と連盟のトップの一本化を望んでいるのだとすれば、これは会長予備選挙後の対応にも新たな動きが必要になるかもしれない。

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日本歯科医師会会長選挙特集 次期リーダーへの道(6)政策の論点2 国民皆歯科健診

 さる1月30日19時より、東京・市ヶ谷の歯科医師会館大会議室で東京都歯科医師会主催による「日本歯科医師会会長予備選挙における立会演説会」が行われた。会場には約90人の会員が集まり、あわせてハイブリッド方式で各候補者の演説が生配信された。  主催者が用意した事前質問は3題。①保険点数は全国一律だが、経費の地域格差をどう補うか、②超高齢人口減少社会に歯科はどう対応するか、③今後の国民皆歯科健診への方向性。直近の課題として具体策が求められる③について発言順に、各候補の考えが示された。  柳川忠廣氏は現在の健診制度の中で歯科健診が抜けている部分を指摘し、あわせて共通の検診票の作成を提案。法制化については「歯科口腔保健法は理念法なのでこの改定だけでは大きな成果が期待できない」と懸念を示した。  高橋英登氏は、健診実施前には日歯主催の研修を受けることを条件づけ、法制化については理念法でなく実効性のある推進法として自民党PTで議論されていることを明らかにした。皆健診の意義については、「歯科医療費の自然増に繋がること」とした。  小林慶太氏は独自の私案を示し今後の方向性について、「健診の有効性を明示し、国民・保険者にとって有意義で歯科口腔保健の推進寄与する制度」を目指すとした。皆健診実現後の効果としては、①健診結果を保険者にフィードバックして個人負担・保険料に反映させること、②国民規模の健診データをもとに歯科医療の需要解析、技術・材料開発に役立てることの2点を挙げた。

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日本歯科医師会会長選挙特集 次期リーダーへの道(5)政策の論点1 国民皆歯科健診

 今回は7年ぶりの会長選挙となり、立候補者が複数のため政策で競う活発な論戦が期待される。論点はいくつかある。高橋英登氏、小林慶太氏、柳川忠廣氏(届出順)の三氏の政策のキーワードは「シンクタンク」「医療DX」「組織改革」「歯科医院経営」「国民皆歯科健診」など。  「シンクタンク」はそれぞれが描く機能のイメージが異なるのであらためて整理したい。「組織改革」については小林氏が具体的な方法を示して面白い。「歯科医院経営」は改定財源の確保に論点をまとめた高橋氏がわかりやすい。  「国民皆歯科健診」に対するスタンスは三者三様。高橋氏は骨太の方針に始まり令和5年度予算案に盛り込まれたことに強い期待を寄せている。小林氏は政策を日歯の役割と改善点に絞り込み、あえて国民皆健診に触れていない。柳川氏はさまざまな場面で、治療に繋がらなければ意味がないこと、予算案は執行されて意味があることなど問題点を厳しく指摘している。  「国民皆歯科健診」をどのように評価することが適切なのか。職域代表の自民党参議院議員、山田宏氏は6月26日に行われた日本歯科医師連盟の定例記者会見の席で、次のように考えを示している。 山田 昨日25日に行われた「自民党国民皆歯科健診実現プロジェクトチーム」の会合で協議された内容についてお話しします。テーマは2つ。まず来年度予算案に「国民皆歯科健診」の関連予算が5億4300万円ついたこと。この内容について厚労省から説明を受けました。もうひとつはこの健診を確実に推進するための法改正の考え方を議論しました。予算案の中では「歯周病等スクリーニングツールの開発支援」に2億円の予算がついたことに国の本気度がうかがえます。診療につなげる指導のあり方を検討するための予算も盛り込まれています。課題は〝皆歯科健診〟ですから全世代を対象にどのような仕組みを作るか、そして口腔と全身の健康の関係について国民の理解を得られるかです。昨日は法制化について議員立法を視野に議論をしたところです。6月21日までの通常国会の中で議案提出することを目指しています。  健診を診療につなげるのは当たり前のことで、そのための検査のあり方をこれから検討していくわけです。そして、予算がなければ執行率もへったくれもない。まずは予算を取ることが先で執行率については使いやすい制度に設計する厚労省の仕事です。これからモデル事業等を通じて実現までの課題を詰めていくわけですから、治療につながらないような健診は意味がないというのは論理が逆転しているのではないですか。

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