日本老年医学会は1月28日、理事会での承認を経て「『高齢者の終末期の医療およびケア』に関する日本老年医学会の『立場表明』2012」と題する文書を発表した。前回の「立場表明」は2001年に出されており、約10年を経ての改訂となった。
文書の中で同学会は、「胃ろう造設を含む経管栄養や、気管切開、人工呼吸器装着などの適応は、慎重に検討されるべきである」として、「何らかの治療が、患者本人の尊厳を損なったり苦痛を増大させたりする可能性があるときには、治療の差し控えや治療からの撤退も選択肢として考慮する必要がある。」と述べている。日本医学会の分科会である同学会が、「治療の差し控えや徹底も選択肢として考慮する必要」と明記したことは、終末期医療にたずさわる現場の医師の判断にも少なからぬ影響を与えそうだ。
また、別項目では「本人の満足を物差しに」として、「高齢者の終末期の医療およびケアにおいては、苦痛の緩和とQOLの維持・向上に最大限の配慮がなされるべき」と述べている。終末期に限ったことではないが、QOLの維持・向上のための「口から食べる」ことの重要性は、歯科界が継続して発信してきたことでもある。「立場表明」の中には特に歯科に関する言及があるわけではないが、歯科医療関係者も読んでおきたい声明文となっている。
終末期の医療とケアに関する立場表明2012.pdf
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