摂食嚥下機能の「できる」と「している」の乖離について―「世界会議2015」シンポジウムで菊谷武氏

 「世界会議2015」二日目の14日に行われたシンポジウム「超高齢社会における歯科医療・口腔保健の展開と健康政策」の中で、日本歯科大学教授の菊谷武氏が要介護高齢者の食の支援のあり方について、現状の課題を指摘した。
 菊谷氏は口腔リハビリテーション多摩クリニックで成人131名の摂食嚥下機能を調査した結果、医療側が「できること」として評価したこと(能力グレード)と、生活の場で「していること」(摂食状況)には大きな乖離があるという実態を明らかにした。
 菊谷氏は、「病院でできることが在宅でできないのは制度が整っていないから。必要なことは川上から川下まで切れ目なくつながる連携で、病院側から在宅を見据えた支援を望みたい。今は〝できるADL〟よりも〝しているADL〟を目指している。診断はあくまでEBMに基づくが、本人や家族への指導はナラティブであってよいと思う」と考えを述べた。

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