【編集部コラム】平成24年度 診療報酬改定(歯科)の概要

 2月10日に、中央社会保険医療協議会(中医協)が今春の診療報酬改定に関する答申を提出して約1ヶ月が経過した。すでに各関係団体より様々な意見が出されているが、小誌編集部でも「歯科医療経済3月号」で特集を組むにあたり、様々な方からの意見をお聞きしたので全体の概要を簡潔にまとめてみた。

 今春の歯科診療報酬改定には大きく3つの特徴があるように感じた。第一は高齢化社会を迎えての高齢者・有病者への対応強化、第二は既存歯科医療技術の評価の見直し、第三は口腔外科分野の点数増である。

1)高齢者・有病者への対応強化
 歯科の場合は2つの軸があるようだ。一つは歯科訪問診療の拡充、もう一つは病診連携の促進である。歯科訪問診療の拡充については、「歯科訪問診療料1」の引き上げや歯科衛生士が同行した場合の「歯科訪問診療補助加算(ただし歯援診のみ)」の新設、「常時寝たきり」表現の見直し等が挙げられる。病診連携の促進については、「周術期口腔機能管理料」「がん治療連携管理料」等、周術期関連の項目が多く新設されていることが挙げられる。
※歯援診・・・在宅療養支援歯科診療所

2)既存歯科医療技術の評価の見直し
 一般の開業医の先生方の主力ともいえる、「処置」「歯冠修復及び欠損補綴」の項目が、広く浅く引き上げられている。上げ幅が不十分という意見は多数あると思われるが、これだけ広範囲に既存技術の点数が引き上げられているのは、日本歯科医師会の努力がある程度実ったものと考えられるのではないだろうか。下記に「歯冠修復及び欠損補綴」の部で増点となっているものを一覧表にまとめた表を掲載した。
「歯冠修復及び欠損補綴」の部の点数改定一覧

3)口腔外科の点数増
 歯科点数表で「手術」の部に含まれる技術の点数増が大きい。「抜歯」「歯周外科」等を除けば診療所で施術するものは少なく、症例数も少ないため歯科医療費全体の押し上げ幅は限定的と思われるが、引き上げの比率はかなり大きい。また、適応症は極めて少なくなりそうだが、「広範囲顎骨支持型補綴」の名称で取り入れられたインプラント義歯も、病院限定の施設基準で導入された。歯科大学病院にとっては多少の慈雨となりそうだが、口腔外科を擁する医科系病院の動向次第では、病院の多い都市部において競争が激しくなることも考えられそうだ。

 「歯科医療経済3月号」では、日歯常務理事の堀憲郎先生、日本訪問歯科協会の前田実男氏、昭和大学口腔ケアセンター長の向井美惠先生、都立駒込病院口腔外科部長の茂木伸夫先生、さらに開業医の二人の先生と幅広くお話をうかがうことができた。
 参考になる事例を多く語っていただいたので、ぜひ、ご一読をお願いいたします。
歯科医療経済3月号

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